「最近は怒鳴られても何も感じなくなってきた」——これは慣れではなく、麻痺です。土木現場のEさん(26歳)が経験した上司からの怒鳴り・詰めが、体と心にどんな影響を与えているのか。 「厳しい指導」と「ハラスメント」の違いと、慣れた体を取り戻すための選択肢を解説します。
━━ はじめに ━━
今回は、土木現場で施工管理の仕事をされているEさんの「上司からのハラスメント」についてご紹介します。
Eさんは入社3年目の若手技術者です。
現場では覚えることがまだ多く、毎日必死に仕事を覚えようとしています。
しかしそれ以上に大きなストレスとして立ちはだかっているのが、直属の上司(現場所長・50代)の怒鳴り・詰め・無視といった言動です。
「最初は怖かったんですけど、最近は怖いとすら感じなくなってきた気がして。それが逆に怖いです」
このEさんの言葉が、今の状況をよく表しています。
Eさん/26歳・男性
2級土木施工管理技士(取得予定)
勤務先:地方の土木工事専門会社(従業員30名規模)
現場歴:入社3年目、道路改良・河川工事を担当
家族構成:実家暮らし
悩み:上司の怒鳴り・威圧的な指導が続いており、毎朝現場に行くのが怖い
みこやま26歳でこの状況、
本当につらいと思います。
私も20代のころ、
現場で怒鳴られることが日常だった
時期がありました。
「怖いとすら感じなくなってきた」
って感覚、よくわかります。
あのとき誰かに
「それ、おかしい環境だよ」
って言ってほしかった。
この記事がその言葉になれたらと
思って書いています。
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朝礼のあの瞬間が、一番つらい
Eさんが特につらいと感じるのは、毎朝の朝礼です。
上司は職人たちの前でEさんを指名し、昨日の作業内容や今日の段取りについて確認してきます。
少しでも答えに詰まると
「なんでそんなこともわからないんだ」「3年いて何を覚えてきたんだ」と怒鳴られます。職人たち全員の前で。
「答えられないのが悔しいというより、みんなの前で怒鳴られることが怖くて。
朝礼の前の夜から、明日怒鳴られないようにしようって考えながら眠れないことがあります。」
Eさんは段取りの準備を人より念入りにするようになりました。
しかし準備が完璧でも「答え方が悪い」「声が小さい」「態度がなっていない」という別の指摘が来ることもあります。
「何をやっても怒鳴られる気がして、もうどうすればいいかわからないんです」
これはEさんの能力の問題ではありません。怒鳴ることが常態化している環境の問題です。
「慣れた」と「麻痺した」は、全く違う
Eさんは「最近は怒鳴られても何も感じなくなってきた」と言いますが、これは決して良い変化ではありません。
慣れとは、繰り返し経験することでうまく対処できるようになることです。
「朝礼でうまく話せるようになった」「段取りの組み方が身についた」というのが正しい意味での慣れです。
一方で麻痺とは、本来感じるべき感覚が失われることです。
怒鳴られることへの麻痺は「自分が傷ついていること」への麻痺でもあります。
傷ついているのに、傷ついていると感じられなくなっている状態です。
この麻痺は心理的な防衛機能の一種として起きます。
しかし防衛のために感覚が鈍くなると、本来は危険信号であるものを感じ取れなくなり、
限界を超えてもそれに気づかないという状態になります。
→ 感覚の麻痺が深刻化するとどうなるか、メンタルの視点から「No.24」で解説しています。
みこやま「怒鳴られても何も感じなくなった」、
これは本当に危険なサインです。
感じなくなってるから
「まだ大丈夫」と思えてしまう。
体は静かに限界に近づいてるのに、
センサーが壊れてるから気づけない。
私も同じ時期がありましたが、
帰ってからご飯が食えなかったり、
朝目が覚めるのが怖かったりしてた。
「何も感じない」
は強さじゃないですよ、本当に。
慣れたふりをして、
体だけが正直に壊れていきます。
建設業のハラスメントはなぜ「教育」と呼ばれてきたか
建設業界では長い間、怒鳴ることが「厳しい指導」として正当化されてきました。
教える技術を持たない人間が、怒鳴ることで「厳しい指導」をしているように見せる、、、そういう使われ方が、世代をまたいで受け継がれてきた側面があります。
誰も「ハラスメントをしよう」と思っているわけではないかもしれません。
ただ「自分もこうやって育てられた」という経験が、思考停止のままコピーされてきた結果です。
「厳しい指導」と「ハラスメント」の境界線は比較的明確です。
業務上の必要性があり、相手の人格を尊重したフィードバックは、厳しくても正当な指導です。
しかし「なんでお前はこんなことも」「使えない」といった人格否定の言葉、全員の前での公開的な叱責、執拗な繰り返し、、、これらは指導ではなくハラスメントです。
Eさんの上司がやっていることは、その多くが後者に分類されます。
「現場だから仕方ない」は、ハラスメントを正当化する言い訳にはなりません。
ハラスメントが体に刻んでいるもの
Eさんに最近の体の状態を聞くと、いくつかの変化を話してくれました。
「朝、会社に向かうバスの中でお腹が痛くなることがあります。食欲がない日も増えてきて。あと、何か言われる前に全部先回りして動く癖がついてきました。それが正直つかれます」
腹痛や食欲低下は、慢性的なストレスが自律神経に影響を与えているサインです。「先回りして全部動く癖」は心理的な防衛行動で、怒鳴られないために行動をコントロールすることは「より良い仕事をする」という本来の動機とはまったく別のものです。
この状態が続くと「自分の意見や考えを出すこと」への恐怖が定着します。
主体性を失い、指示待ちの働き方が染みついていきます。
Eさんは入社3年目の若い技術者です。今の環境のまま過ごし続けることで、本来の成長の機会を損なっています。
みこやま転職して初めて
「普通の職場」に入ったとき、
上司がミスを指摘するとき
怒鳴らないことに驚きました。
静かに、具体的に、
「次はこうしましょう」って言う。
最初は
「え、この後どっかで爆発するのかな」
とすら思ってた(笑)。
そのくらい前の感覚が染みついてたんです。
普通の指導が普通に見えない状態、
完全にやられてましたね、、、
当時の自分は。
「慣れた体」を取り戻すために
Eさんは「どこに行っても同じだ」と先輩に言われたそうです。しかしこれは正確ではありません。
建設業の中でも、上司が怒鳴らない職場はあります。
ミスをフラットに振り返る文化がある会社はあります。
若手の意見を聞く現場もあります。
特に比較的新しい経営者が率いる会社や、採用・育成に力を入れている中堅企業では、人材への接し方が大きく異なることがあります。
施工管理に特化した転職エージェントに話を聞いてもらうと「どういう会社の文化が自分に合うか」という観点でも求人情報を提供してもらえます。
「職場の雰囲気が穏やかで、若手が育ちやすい環境」という条件を伝えることも、正当な要望です。
感覚が麻痺してしまう前に、外を見てほしいと思います。
みこやま後は一歩踏み出す勇気です!
状況を劇的に好転させるためには
まず自分自身が動くことが一番の近道です!
応援しています!
将来の担い手、
若手技術者の獲得のため、
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