入社2年目に「お前は向いていないんじゃないか」と上司に言われてから4年間、ずっとその言葉を引きずってきたIさん(27歳)。「向いていない」と「今の職場でうまくいっていない」は全く別の話です。環境を変えるだけで評価が一変するメカニズムを、具体的な事例とともに解説します。
━━ はじめに ━━
今回は、建築現場で施工管理をされているIさんの「向いていないかもしれない」という悩みについてご紹介します。
Iさんは「施工管理に向いていないのかもしれない」という気持ちを、入社2年目ごろから抱えてきました。
上司に怒鳴られる、段取りがうまくいかない、職人との関係がぎこちない・・・。
こうした経験が重なるたびに、「これは自分の適性の問題だ」という結論に向かっていきました。
しかしIさんの話を聞いていくと、浮かび上がってきたのは「向いていない」ではなく、「向いていない職場にいる」という実態でした。この違いは、思っているより大きいのです。
Iさん/27歳・男性
2級建築施工管理技士
勤務先:地方の工務店系建設会社(従業員40名規模)
現場歴:入社4年目、住宅系の新築・増改築工事を担当
家族構成:一人暮らし
悩み:「自分は施工管理に向いていないのではないか」という気持ちが強くなり、転職か続けるかで悩んでいる
みこやま「向いていないんじゃないか」
って上司に言われたこと、過去に私もありました。
怒鳴りながら言うやつです。
今思えばただの八つ当たりですよね・・・。
指導できない自分を棚に上げて
「お前の適性の問題だ」
って言えば楽じゃないですか・・・。
その言葉を真に受けて何年も悩むのは、
本当にもったいないことだと思います。
向いていないと言ったやつが、
向いていなかっただけかもしれないので・・・。
大丈夫ですよ、
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「向いていない」と思い始めたきっかけ
Iさんが「向いていないかもしれない」と感じ始めたのは、入社2年目の夏でした。
担当していた住宅の新築工事で、工程のずれが発生しました。
下請けの左官業者が予定より早く作業を終え、次の業者との間に空白ができてしまった。
現場を見た上司に「なんで上手に段取りできてないんだ」と怒鳴られました。
「自分の段取りが悪かったのは事実なんですけど、あのとき上司に言われたのが『お前は施工管理に向いてないんじゃないか』って。それがずっと頭に残ってて」
その一言が、Iさんの中で「自分は向いていないのかもしれない」という信念の種になりました。
その後、何かうまくいかないことがあるたびに「やっぱり向いていないんだ」という確認作業が繰り返されるようになっていきました。
「失敗するたびに、ほら、やっぱりそうだった、って思ってしまうんですよね。でも、向いている人って、最初から失敗しないものなのかな、とも思って。よくわからなくなってきました」
Iさんのこの言葉に、重要な気づきが含まれています。
「向いていない」と「うまくいっていない」は、別の話だ
「向いていない」という言葉は「自分の資質・特性が、この仕事に合っていない」という意味です。これは本来、相当に慎重に使われるべき判断です。
しかし多くの場合、この言葉は「今の職場で、今の環境で、今の状況ではうまくいっていない」という事実と混同されています。
うまくいっていない理由は、向いていないからではなく、別のところにある可能性が十分あります。
たとえば、適切な指導を受けていないこと。Iさんの会社ではOJTらしいOJTはなく「見て覚えろ」が基本だったといいます。段取りの組み方を体系的に教えてもらった経験がないまま「なぜできないんだ」と怒鳴られても、できるようになる道筋がありません。
たとえば、フォローの仕組みがないこと。施工管理は一人で現場を任されることが多いですが、若手のうちは先輩が並走してくれる体制があるかどうかで、成長の速度が全く変わります。Iさんの職場では、相談できる先輩が実質的にいない状況でした。
「向いていない」と「うまくいっていない」は全く別の問題です。

同じ人間が、職場を変えただけで評価が一変することがある
施工管理に限らず、どの仕事でも「この職場では評価されなかったが、別の職場では高く評価された」という話は珍しくありません。
現場の規模・工種・会社の体制・上司の指導スタイル・・・・、これら全てが施工管理技士のパフォーマンスに直接影響します。大規模な新築工事で単独管理を任されて苦労していた人が、小規模改修の会社でチーム体制のもとで働いたら驚くほど活躍できた、というケースが実際にあります。
向いているかどうかは「今の職場で試した結果」だけでは判断できません。
環境を変えて試してみないと、本当の意味での「向き不向き」はわからないのです。
Iさんも「別の環境で試したことがないので、本当に向いていないのかどうか、正直わからないですよね」と話していました。わからないまま「向いていない」と決めつけるのは、早計ですよ!
みこやま
「向いていない」と「まだできていない」の区別、
私も長いこと混同してました・・・。
できないことがあるたびに
「やっぱり向いてないんだ」って思う・・・。
でも転職して環境が変わったら、
前の職場でできなかったことが
普通にできるようになってた。
これは環境が変わったからです。
向いていなかったんじゃなかったのです・・・。
判断するなら、
せめて違う環境で試してからに
したほうがいいですね・・・。
一つの職場の結果だけで、
全部を決めるのは早すぎますよ!
貴方にもっと見合った良い職場環境、
もっと輝ける会社がきっと見つかるはずです!
施工管理に「向いている人」とは、どういう人か
施工管理に向いている人の特徴としてよく挙げられるものがあります。複数のことを同時に管理できる、責任感が強い、コミュニケーションが取れる、問題が起きたときに冷静に対処できる・・・、これらは確かに施工管理に活きる特性です。
しかし重要なのは、これらは「最初から持っている必要がある」ものではなく、「現場経験の中で育っていく」ものだということです。
入社1〜2年目の段階で複数のことを同時に管理できなくて当然です。責任感も実際に責任を持った仕事をする中で育まれるものです。コミュニケーション力も、様々な職人や業者と接する経験の中で磨かれます。
「まだできていない」と「向いていない」は、全く違います。
Iさんは4年間、怒鳴られながらも現場に出続けてきました。その経験自体が、施工管理技士としての基礎体力になっています。問題は「向いているかどうか」ではなく「その基礎体力を正しく活かせる環境にいるかどうか」です。
「向いていない職場」を抜け出す前に、知っておくべきこと
Iさんに伝えたいのは「施工管理をやめるかどうか」を判断する前に「施工管理の別の職場を試してみる」という選択肢があることです。
今の職場を辞めることと、施工管理という仕事をやめることは全く別の選択です。この二つを混同したまま「施工管理は向いていないから辞める」という結論を出してしまうと、4年間で積み上げてきた経験や資格が無駄になってしまう可能性があります。
施工管理に特化した転職エージェントに相談することで「Iさんのような経験・スキルレベルの方が活躍しやすい職場環境」という観点から求人を提案してもらうことができます。
「若手が育ちやすい体制がある会社」「先輩が並走してくれる環境がある会社」を条件として伝えることは、正当な要望です。「向いていない」という結論を出すのは、違う環境を試してからでも遅くありません。


